機械通信 vol.1 脱プラ・ロングライフ一式
テーマ:ロングライフと脱プラ
<深絞包装の豆知識、お役立ち情報>
近年大家族が少なく核家族がすすみ、小食、孤食、個食の時代となっております。少量多品種化が多く見受けられます。またスーパーもバックヤードでのカット、トレーパックには設備的、人手不足も問題があり、最近はバックヤードを持たずセンターで集中して作り店舗に配送といった形態に替わっております。中でもスーパーでのトレーパックでの惣菜などはレジを通った後に(常設の薄い無料の)袋に入れ替えトレーはその下のゴミ箱に捨てるといった無駄、衛生面での問題が発生しております。そこで真空パック(モモ肉一枚、ムネ肉一枚のような真空包装形態)した鶏肉を提案できれば、上記問題もクリアーできると考えております。
深絞包装機とは?
内容物にあわせた金型を用いてフィルムを熱成形させたボトム材に、トップフィルムを貼り合わせ、真空包装する自動包装のことを言います。ボトム材と呼ばれる、機械の下側に流れるフィルムに、熱成型によって凹みを作り、そこに内容物を充填後、上からトップフィルムを貼り合わせて内容物を密閉し、最後に一つ一つ切り離して完成します。オペレーターは内容物を充填するだけで済むので、効率よく大量にパッキングすることが可能です。
適正包材は?
包装形態には通常の真空パックの他に、容器のように硬くするリジットタイプや開封性をよくするためにイージーピール特性を付与したパターンがあります。基本的にボトム材には、絞った時に伸びやすい厚手の無延伸フィルムが良く、その中でも共押出しフィルムが最も相性が良いとされています。
トップ材は延伸・無延伸フィルムどちらでも使用されています。フィルムの注意点として機械の仕組み上、ボトム材には偏肉精度、フィルムの平坦性が強く求められています。
深絞包装フィルムとは?
コンビニ・スーパーの棚に並ぶ加工食品、ハンバーグ・サラダチキン・ソーセージ・玉子焼きや、水産加工品等々に用いられます。高齢化や単身世帯の増加、女性の社会進出により、惣菜類など調理済み食品の需要が増え続けています。深絞り包装用の高機能多層フィルムは、密閉性や破れにくさ、開封のしやすさ、耐熱性、印刷の美しさは勿論ニーズに合わせて、様々な機能をカスタマイズ出来るフィルムです。
[食品の特性に合わせた包装やフィルムを選ぶことの重要性]
包装には、食品の品質を保持する役割があります。食品ごとに適切な包装をしないと、すぐにカビが生える、腐る、袋に穴が開く、など安全な食品を消費者に届けることができません。商品にあった適切な包装方法、包装の機能などが必要になります。
[食品包装・フィルムの大事な役割]
食品を包装するフィルムには、大事な役割があります。
① 食品の品質を保持する役割(保護機能)
② 流通や保管の効率を高める役割(流通、販売上の利便機能)
③ 使用時の利便性を高める役割(消費上の利便機能)
④ 情報を伝達し販売を促進する役割(情報機能)
食品の品質を保持する役割(保護機能)
食品包装は、生産から消費までの間に受ける外力や環境変化によるダメージから内容物を守ることができます。食品包装がなければ、食品がむきだしのままになってしまいます。むきだしのままだと、豆腐は流通ができず、昔のように鍋を持って買いに行かなければなりません。ポテトチップスは包装によって風船のようにふくらませることにより中のポテトチップスが粉々に割れないようにしています。品質的には、食品に空気がそのままふれて、湿気ってしまったり、色が変わってしまったり、硬くなったり、傷んでしまうことがあります。また、包装することによって、異物混入や売場でのいたずらを防ぐこともできます。食品を守る為に、包装は必要不可欠です。さらに包装には、遮光性、耐熱性、耐寒性など様々な機能を持っており、品質保持期間を延長させ食品ロスの抑制にもつながり、食べ物の無駄な廃棄もなくなります。
流通や保管の効率を高める役割(流通、販売上の利便機能)
包装は、輸送・保管・陳列など流通の作業効率を高める役割があります。商品を箱詰めするときに多くの数を収納でき、出し入れがしやすい形状のものにすることで、積載効率が上がり、輸送・保管するときのコスト・労力の削減につながります。包装は、流通や保管の際に次の機能を持っています。
A:荷役(運びやすい、持ちやすい)
B:保管(積みやすい、置きやすい)
C:仕分け(見分けやすい)
D:陳列(並べやすい、見分けやすい、置きやすい)
使用時の利便性を高める役割(消費上の利便機能)
食品包装は使用時の利便性を高めることができます。内容物がこぼれず、なおかつ取り出しやすい形状、持ちやすさ、安定性などが求められます。また、電子レンジで温めてそのまま食べることができる袋、チャック付きで保存ができる袋など、消費者がそのまま使用しやすい梱包にすることで、消費者の利便性も向上することができます。
情報を伝達し販売を促進する役割(情報機能)
食品包装は、中身が何なのかを明らかにするための必要な情報を提供することができます。広告効果により、商品のアピール、競合品との差別化を図り、販売を促進することができます。売り場で陳列されているときに、目を引く包装によって、商品の売れ方が大きく変わってきます。消費者に商品の魅力を視覚的にアピールすることができるデザインが求められます。また、商品として必要な表示・内容物の説明・バーコード等は消費者への情報提供として重要な役割をもちます。製造内容・品質期限・アレルゲン表示・使用方法などの情報を、消費者にわかりやすく伝えなければ、消費者の命にかかわります。
[食品の特性に合わせた深絞包装]
深絞り包装は、底材(ボトム材)と蓋材(トップ材)と呼ばれる2種類のフィルムを使い、底材を容器として、蓋材を蓋として使用している包装形態です。底材としてプラスチックシートを加熱成形し、食品を入れ、蓋材フィルムを熱接着する過程で中の空気を抜き、真空シールします。また、空気を抜いた後に不活性ガスを封入する場合もあります。また、特徴として食べやすいサイズに合わせた容器の大きさにすることが可能になり、内容物を外から見ることができます。深絞りの底材としては、形を成型しないといけない為、共押出(きょうおしだし)法で作られる軟らかいフィルムを使用することが一般的です。CNY(無延伸ナイロン)とLLDPEやPO(ポリオレフィン)がよく使われます。蓋材は、ONYとLLDPEを貼り合わせたものを使用。また、イージーピールと呼ばれる簡単に底材から、手で簡単にはがしやすくなる素材を使用することもあります。
<使用例>サラダチキン・ハム・ソーセージ など
【食品の腐敗を防ぎたい!!】
食品が腐る原因は、酸素と水です。食品に酸素がふれなければ、食品の腐敗を防ぐことができます。食品に酸素をふれさせない為のおススメの包装は下記の3つになります。
① 深絞真空包装
包装内を減圧して酸素を完全に除去する方式で、仕上がりの品物はフィルムと密着します。
② 深絞ガス置換包装
包装内に窒素などの不活性ガスを注入し、酸素を袋の中から追い出す方法です。ガス置換率がよく、酸化が効果的に抑えられます。
③ 脱酸素材を封入
酸化鉄などを用いた脱酸素材を封入する方法です。適量なら酸素吸収率は抜群によく、食品中に含まれる酸素まで吸収します。有機系のビタミンCなどを用いた脱酸素剤もあり、酸素を吸収させた後、二酸化炭素を発生させる方式で、二酸化炭素は酸化防止と同時に微生物の繁殖を抑える効果もあります。
上記のすべての方式は、酸素バリア性のついたフィルムを使用しないと、フィルムの外側から酸素が入ってきてしまいます。フィルムの中の酸素をなくすことで、食品は長持ちし、腐敗を防ぐことができます。食品には、腐敗を防ぐ包装をすることが大切です。
真空の定義として、日本工業規格(JIS)では、「真空とは、通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態で、圧力そのものではない」と定義されています。つまり、周りの大気圧よりも低い状態のことを真空といいます。真空と聞くと、「空気がまったく入っていない状態」とイメージされがちですが、周りの大気圧を基準に真空として定義されています。また、日本工業規格では真空包装についても、「真空包装とは、内容物の充填時に容器から空気を吸引排気して密封し、物品の変質などを防止することを目的とする包装」とされており、「容器には、ガスバリア性の優れた包装材料を用いる」と定義しています。
スーパーを見回してみると、様々な食品が真空包装されて売られています。食品を真空包装することによって、賞味期限を延ばし、日持ちさせることができます。真空包装することで、食品にとっても、生産者や消費者にとってもたくさんの利点があります。しかし、真空包装する包材を適切なものを選択しないと、カビが生える、袋が破れてしまうという事が起こり得ます。深絞真空包装を使うメリットを知って頂き、適切な材質のフィルムを選定させて頂き、消費者様に安心安全な食品を共に提供させて頂ければ幸いです。
詳しくは、こちらのPDFをみてください。
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